【南河内探訪】アスカディア・古墳の森 大阪府立近つ飛鳥博物館(河南町)

近つ飛鳥博物館

アスカディア・大阪府立近つ飛鳥博物館は大阪府南河内郡河南町東山にある博物館で、「古代の国際交流と国家の形成過程」をテーマとする展示などで歴史ファンにお馴染みですが、建築家の安藤忠雄氏により「自然を喜び讃える日本人の感性を収めた平成の古墳」として建てられた建物でも有名です。

アスカディア・古墳の森 大阪府立近つ飛鳥博物館(河南町)
アスカディア・古墳の森 大阪府立近つ飛鳥博物館(河南町)

概要

大阪府立近つ飛鳥博物館は、大阪府南河内郡河南町の北部に広がる大阪府立近つ飛鳥風土記の丘にて、1994年(平成6年)3月25日に開館しました。

「近つ飛鳥」とは、古事記に記載がある地名で、博物館ホームページによると、履中天皇の同母弟(後の反正天皇)が、難波から大和の石上神宮(現在の奈良県天理市にある神社)に参向する途中で二泊し、その地を名付けるに、近い方を「近つ飛鳥」、遠い方を「遠つ飛鳥」とした、とされています。「近つ飛鳥」は今の大阪府羽曳野市飛鳥を中心とした地域を、「遠つ飛鳥」は奈良県高市郡明日香村飛鳥を中心とした地域を指しています。


この近つ飛鳥の地には、難波の津と大和飛鳥を結ぶ日本最古の官道といわれる「竹内街道」が通り、その周辺には大陸系の遺物を出土する6世紀中葉以降の古墳が多数存在しており、南部の磯長(しなが)谷には、敏達用明・推古・孝徳各天皇や聖徳太子の陵といった陵墓指定地など飛鳥時代の大古墳が集まっていて、俗に「王陵の谷」とも呼ばれています。その他にも小野妹子の墓や、埋葬者不明の古墳も合わせると二百数十基ともいわれ、日本の歴史の発生期における中心的な場所であるとされています。

また、平安時代の書物「新撰姓氏録」によると、この辺りには渡来系氏族も多数居住していたという記載もあることから、近つ飛鳥地域は国際色豊な地域であったようです。


アスカディア・古墳の森 大阪府立近つ飛鳥博物館(河南町)
大阪府立近つ飛鳥博物館入口

コンクリート造りの広い階段状の外見と、上部に「黄泉の塔」がそびえる特徴的な博物館の建物は大阪出身の建築家、安藤忠雄氏の設計。この建物は安藤氏が自身の代表作として挙げる作品で、第26回日本芸術大賞他を受賞しています。

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無料ゾーンの埴輪

安藤氏の設計といえば、南河内では大阪狭山市の狭山池のほとりにある大阪府立狭山池博物館も有名です。両博物館の間は直線距離で8km少々なので、1日でどちらも見学することが容易です。
また、風土記の丘の1.5から2kmほど東の山寄りには、磐船大神社高貴寺があります。


その他、近つ飛鳥博物館や風土記の丘では季節により「さくらまつり」や「かなんフェス」といったイベントも開催されています(リンク先は過去のもの)。

博物館の施設や風景

近つ飛鳥博物館全体としての正門は建物北西の駐車場側になります。駐車場からは階段やスロープでメインの階段状の部分に出ることが出来ます。

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スロープと階段状部分

当博物館の構想はこれまでの博物館と違い、単に出土品を展示するだけの施設ではなく、環境として周辺に点在する古墳群全体をそのまま見せようという意図があります。

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黄泉の塔

そのため、窪地に位置している建物は、そこから出土地域全体を一望できるように段状に隆起させ、ひとつの丘として考えられたそうです。

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階段状部分の下部(右側に池)

周囲は梅林をはじめとした多くの木々に囲まれており、生命の源である水を湛えた池もあります。

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自然に触れ合えるエリア

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秋には紅葉も

近つ飛鳥博物館や風土記の丘周辺では、春の桜や秋の紅葉なども美しいことから、これらの時期には古墳や古代の歴史を学ぶだけでなく、自然の風景を楽しむことも出来ます。

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館内入口

スロープから続く通路から博物館の南側にある館内への入口前に出ることが出来ます。この右手からは散策路を通って大阪府の史跡公園である風土記の丘に入れ、そこに保存された国の指定文化財である一須賀古墳群を見学することが出来ます。

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玄関ホール(奥が受付)

博物館内に入るとまずエントランスホールとなっていて、受付までの部分は周辺に広がる近つ飛鳥風土記の丘のレストルームとして無料で入館できるゾーンになっています。

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休憩にも使える1階の普及ゾーン

この無料エリアは1階普及ゾーンと呼ばれ、図書コーナーやビデオコーナー、相談カウンターがあります。その隣には喫茶コーナーがある他、当館の展示図録や関連書籍、オリジナルグッズなどを購入できるミュージアムショップ、コインロッカー、救護室、AEDも設置されています。さらに、地下にも地階普及ゾーンがあり、こちらはハイビジョンコーナーやホールがあります。

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図書コーナー

有料エリアの展示は「近つ飛鳥と国際交流」、「古代国家の源流」、「現代科学と考古学」の3つの基本テーマで構成されており、様々なメディアを通じて来館者にとってわかりやすいものとなるように工夫されている他、出土品が古墳の中に収められているかのように展示されています。

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博物館周辺の立体地図

所蔵品には、南河内の古墳の出土品をはじめ、国指定の重要文化財として、藤井寺市三ツ塚古墳出土の修羅2点・梃子棒1点(附 埴輪残欠)や、八尾市美園古墳出土の家形埴輪2箇・壺形埴輪3箇の他、大阪府指定の文化財も多数あります。

また、10mにもなる大仙陵古墳(仁徳天皇陵)の復元模型も展示されています。

また、上記の常設展の他、特別展・企画展が催されていることもあります(特別展、企画展の開催中は、入館料が異なります)。各種展示や料金などについては下記の近つ飛鳥博物館ホームページからご確認ください。

●アスカディア・古墳の森 大阪府立近つ飛鳥博物館 ホームページ →http://www.chikatsu-asuka.jp/?s=index

●大阪府立近つ飛鳥博物館 Facebook →https://www.facebook.com/ChikatsuMuseum/

アクセス

公共交通機関では、近鉄長野線「喜志」駅、または「富田林」駅下車、金剛バスを利用し乗車「近つ飛鳥博物館前」バス停下車。カナちゃんバスでは「大宝3丁目(北13)」バス停下車。バス停前が風土記の丘入口になっていて、ここから博物館までは約8分歩いて向かいます。

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博物館駐車場

車では直接近つ飛鳥博物館へ行けます。太子町の府道32号線「上宮学園南」交差点を南に入り案内標識を頼りに約1.8kmです。博物館の駐車場台数は80台で無料。

近つ飛鳥風土記の丘へ行くには、大阪芸術大学前を走る府道27号線の「一須加」交差点を「大宝」(東)方面へ。そのまま約1.6km坂を上った住宅街の突き当りが風土記の丘の入口です。駐車場は約30台分で無料です。

風土記の丘と博物館は車で移動すると5km以上ありますが、中でつながっているので徒歩なら300mほどの移動で行き来できます。

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