【南河内探訪】翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市) ・モニュメントが目印の石器について学べる公園

石器人のアトリエ

「翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ」は大阪府羽曳野市翠鳥園(すいちょうえん)にある公園です(「旧石器人のアトリエ」との表記も)。ユネスコの世界文化遺産に登録された百舌鳥・古市古墳群の古市古墳群があり、日本最古の官道とされる竹内街道も通るなど歴史的スポットの多い羽曳野市の中で、それらよりはるか昔の石器時代について学べる遺跡公園となっています。写真は主に2020年(令和2年)10月撮影。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
翠鳥園遺跡公園石器人のアトリエ(羽曳野市)

翠鳥園遺跡公園の南東にはイズミヤ古市店がありますが、周辺はほぼ住宅地となっています。翠鳥園遺跡公園から半径300m以内には、西の青山古墳をはじめ、北の墓山古墳や南の日本武尊白鳥陵(軽里大塚古墳)などの古墳があり、まさに古市古墳群の中心部ともいえる場所にあります。


概要

この付近には1992年(平成4年)の発掘調査で約2万年前の石器作りの跡が発見され、翠鳥園遺跡と名付けられました。この遺跡からは30ヶ所以上の石器作りの跡と、サヌカイトといわれる加工しやすい石でできた石器や石のかけら約2万点が見つかっています。

1998年(平成10年)に翠鳥園遺跡は公園として整備され、石器をつくるために割ったサヌカイトをテーマにした大きな輪切りの卵型モニュメントをはじめ、見学テラス、学習解説施設、トイレなども設置されました。

公園の様子

翠鳥園遺跡公園は住宅街の中にあるので、住民の方はもちろん、商業施設の前にあることからその利用者にも公園の存在は良く知られていると思われます。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
シンボルであるモニュメント


とりあえず、公園南西の出入口が正門と思われます。こちらには「翠鳥園遺跡公園 Jardin des paléolithiques(ジャルダンデパレオリティック)」のプレートが取り付けられ、その下には「石器人のアトリエ」とあります。Jardin des paléolithiquesはフランス語で「旧石器時代(人)の庭」でしょうか。

そしてこの南西の入口から入ってすぐの階段の上にあるのが、この公園で最も印象的なコンクリート製の巨大モニュメントです。これはゆで卵、あるいはロールパンをスライスしたところ...ではなく石器を作るために打ち割ったサヌカイトを表しているのだそうです。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
モニュメント内部

モニュメントの内部はトンネル状になっており、「中に入ればサヌカイトの不思議なサウンドが響き、足元には鋭くとがった石器が浮かび上がってきます。」という素晴らしい仕掛けが...あったようですが、現在は稼働していません。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
「旧石器人のアトリエ」説明板

それでも、モニュメントのトンネル内部には様々な説明文があります。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
モニュメントの床にある説明板

翠鳥園遺跡から東、二上山で採れるサヌカイトという石はガラスのように鋭く割れる性質があり、石器の材料として広く利用されていました。石器時代の人々はそのサヌカイトを二上山からここに運び、石器に加工していたようです。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
見学テラス

モニュメントを抜けるとそこは公園中心部の広場より一段高い見学テラスで、石器時代や石器についての立体的な展示や説明文が書かれたパネルがあります。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
見学テラスにある展示物など

サヌカイトの原石も展示。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
見学テラスにある説明板

説明文が書かれているのは磁器版製のパネル。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
屋根付きの学習解説施設内部

卵型モニュメントの北隣には学習解説施設があります。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
「再現!旧石器人のアトリエ」解説

こちらの展示ケースでは、翠鳥園遺跡で行われた石器作りの様子をイラストや模型でわかりやすく解説されています。

なお、こちらの施設では翠鳥園遺跡が発掘されている時の様子や旧石器の作り方、さらに旧石器時代の人々の暮らしなどを詳しく見ることのできるビデオが流れて...いるはずでしたが、こちらも現在は稼働していません。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
点在する展示物とメタセコイア

公園の北西から南東にかけての広場がメインである「石器人のアトリエ」となっています。また、公園の中心付近にはメタセコイアの木が植えられており、翠鳥園遺跡の歴史を象徴しているようです。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
「アトリエ」の一つ

公園中に点在する精巧な立体模型や実物大の写真で再現した石器作りの跡を巡ると、石器人のアトリエ(作業場)の様子を実感できる気がします。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
右の建物がトイレ

公園南東側にも出入口がありますが、こちらにはトイレがあります。こちらのトイレの屋根はサヌカイトの山地である二上山を模していて、屋根の上には景観に優しい草(もとは笹?)が生えています。そういえば、モニュメント以外の建物の屋根には植物が植えられているようです。

翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ(羽曳野市)
南東側出入口の看板と地図

翠鳥園遺跡公園は、公園としてはそれほど広くありませんが、30を超える「石器人のアトリエ」展示をはじめ、学習解説施設やモニュメントといった見どころの多い公園となっています。

羽曳野市の古市駅周辺を巡るウォーキングトレイルのコースにも入っているので、古墳や神社仏閣巡りの合間に2万年前の石器時代について学んでみるのもいいかもしれません。


アクセス

近鉄南大阪線・長野線「古市」駅、あるいは近鉄南大阪線「藤井寺」駅から近鉄バスを利用する場合は「軽里三丁目」バス停で下車すぐのイズミヤ古市店の北東です。

最寄駅である「古市」駅からは、西出口を出て右(西)に約600m歩きイズミヤの駐車場出入口を兼ねる道路を右折します(羽曳野白鳥郵便局手前)。さらに100mほど進むと右手に翠鳥園遺跡公園(石器人のアトリエ)があります。

国道170号(外環状線)「軽里北」交差点からは東に約300m進むと上記のイズミヤ駐車場出入口です。

専用駐車場はありませんが周辺にコインパーキングがあります。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 近畿情報へ

コメント