坪枯れ拡大懸念
2020年(令和2年)も10月に入り、大阪南河内でも稲刈りシーズンに突入した感がありますが、稲刈り前の田んぼを見ていると今年は何となく様子がおかしい気がします。例年なら一面に広がる黄金色の稲穂の美しい風景を楽しめる時期ですが、今年はところどころ稲が茶色く変色しているようで、場所によってはいわゆるミステリーサークルのように倒れていいたりします。
南河内の稲刈りシーズン(2020年) |
この原因を調べてみると、どうやら「トビイロウンカ」という虫の仕業のようで、今年は西日本を中心に広範囲で発生し、大阪府内でも被害が広がっているようです。
トビイロウンカとは
大阪府環境農林水産部農政室推進課病害虫防除グループの出している情報などによると、トビイロウンカの成虫は4~5mmで、体色はその名が示すように「鳶色(とびいろ)」、つまり脂ぎった褐色をしているようです。
ウンカ(浮塵子)には様々な種がありますが、多くは遠く大陸から気流に乗って毎年日本に飛来します。トビイロウンカの成虫には長翅型と短翅型があり、長翅型が梅雨時期に大陸から飛来し、次世代以降は主に短翅型が増殖。8
月以降急激に増殖し、秋に被害を起こすため通称「秋ウンカ」と呼ばれているそうです。これが多く発生した年は夏の終わりから秋にかけて水田の中に穴が開いたように稲が枯れて倒れ込む状態が見られ、これは一般に「坪枯れ」と呼ばれています。トビイロウンカの成虫と幼虫が株元で稲の汁を吸って(吸汁加害)急激に増殖し、多発すると秋に「坪枯れ」を生じさせるというわけです。
被害の無さそうなエリア(富田林市) |
農林水産省が発表した令和2年度病害虫発生予報第6号(8月5日発表)によると、水稲でトビイロウンカが近畿、中四国、九州の一部地域で発生が多くなると予想されており、大阪府内でも8月第6半旬(半旬は5日間)に予察灯への飛来頭数が平年を大きく上回るなどしたため、府は9月3日に病害虫発生予察注意報を発出しています。
田んぼの様子
以下、南河内地域内で見かけたトビイロウンカの被害を受けていると思われる収穫前の田んぼの様子です。
太子町にて |
河南町にて |
河南町にて |
千早赤阪村にて |
富田林市にて |
今年の夏は平均気温が例年に比べて高かったことなどがトビイロウンカ大発生の一因のようです。もう少し早い時期には薬剤散布などの対策も有効ですが、収穫適期に近い場合は可能な限り早めに収穫することになるようです。
稲刈り後の様子(千早赤阪村) |
●大阪府環境農林水産部農政室推進課病害虫防除グループ →http://www.jppn.ne.jp/osaka/
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