【南河内豆知識】うすいえんどう(碓井豌豆) ・大阪でメジャーな春の旬野菜

ウスイエンドウとは

毎年春になると八百屋やスーパーの農産物売場に並ぶエンドウ(豌豆)。エンドウは大きく分けると、実を取り出して食べる「実えんどう」と、さやごと食べる「さやえんどう」に大別されます。

関西、特に大阪で2月から5月頃にかけて出回り、人気の高い実えんどうが「ウスイエンドウ」です。

うすいえんどう(碓井豌豆)
ウスイエンドウの苗

ウスイエンドウは、一般的にグリーンピースと呼ばれている青豌豆と同じように豆がある程度膨らんだ頃にさやごと収穫し、さやから出した豆を食べます。グリーンピースとウスイエンドウの主な違いは、グリーンピースよりウスイエンドウの方がさやも豆も色が薄く皮も柔らかいです。また、青臭さが少なく甘みが強いので優しい味わいが楽しめます。


この様な特性から、グリーンピースの大部分は、缶詰や冷凍品に加工されますが、ほとんどのウスイエンドウはさやのまま流通し店頭に並び、豆ご飯や卵とじ、かき揚げなど様々な料理に使われています。

まさに、春の旬野菜と呼ぶにふさわしいウスイエンドウですが、実は関西では親しまれてるものの、それ以外の地域ではほとんど馴染みが無いそうです。

うすいえんどう(碓井豌豆)
ウスイエンドウのさや

大阪府が運営する「大阪ミュージアム」サイトによると、碓井豌豆(ウスイエンドウ)は明治時代にアメリカからBlack Eyed Marrowfatというむき実用えんどうの品種を、羽曳野市碓井(当時の古市郡碓井村)出身の農業研究者が導入したのが始まりといわれています。碓井地区で栽培が始められたこのエンドウは、ウスイエンドウとして近畿地方を中心に広まりました。2008年(平成20年)には17番目の「なにわの伝統野菜」として認定されました。

うすいえんどう(碓井豌豆)
ウスイエンドウの実

そんなウスイエンドウですが、現在は和歌山県が生産量日本一(平成25年産)で、大阪のスーパーで売られているウスイエンドウも和歌山県産のものを多く見かけます。和歌山県ではウスイエンドウを改良した「紀州うすい」を露地やハウスで栽培しており、大阪でも毎年2月頃から出回ります。

ウスイエンドウの主な栄養としては、タンパク質やビタミン類が豊富で、特にビタミンB1や葉酸、食物繊維を多く含んでいます。

※ここまでの写真は筆者が以前趣味で栽培したものです(笑)。

うすいえんどう発祥の地

「碓井豌豆」発祥の地が南河内にあるということで、2019年(令和元年)5月初旬の羽曳野市碓井の様子を見てきました。

うすいえんどう(碓井豌豆)
碓井3丁目の標識

現在の碓井地区は羽曳野市の石川左岸(西側)で、堤防沿いに走る府道802号と近鉄南大阪線の間、南は羽曳野市古市、北は藤井寺市道明寺に接しています。また、西名阪自動車道が碓井地区の中を東西に走っています。かつての碓井村の中心地は古市駅寄りで、碓井八坂神社があります。

うすいえんどう(碓井豌豆)
誉田地区から碓井地区を望む

近鉄電車に乗っていると、見晴らしがよく、東に二上山から続く山々、西に応神天皇陵(誉田御廟山古墳)の木々が見える辺りで、誉田八幡宮道明寺天満宮の間ともいえる場所が碓井地区です。

うすいえんどう(碓井豌豆)
羽曳野名産の果物「いちじく」畑

しかし、現在の碓井地区で目立つのは、隣の誉田7丁目付近同様に羽曳野名産のいちじくの畑という印象が強く、あまり他の作物のイメージが湧きません。

うすいえんどう(碓井豌豆)
発祥の地のウスイエンドウ

...と思っていましたが、今でもちゃんと栽培されていました。これが“本場”のウスイエンドウですね。

JA大阪南のホームページを見ると、「うすいえんどうを守る会」という会があって、こちらの方々が「なにわの伝統野菜」の認証取得に尽力され、南河内地区唯一の登録野菜として認証されたそうです。

●JA大阪南 ホームページ 南河内地域産「碓井豌豆」 →http://www.jaom.or.jp/blog/7420.html

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